現代ポートフォリオ理論(MPT)におけるリターンとリスクの考え方



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現代ポートフォリオ理論における「リターン」と「リスク」

現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory=MPT)とは、1990年にノーベル経済学賞を受賞したハリー・マーコウィッツが1952年に発表した論文「ポートフォリオ・セレクション」をきっかけとして研究が進められた理論で、「リスク」と「リターン」、それぞれの関係を分析して最適なアセットアロケーション(資産配分)を考える理論です。

現代ポートフォリオ理論をベースとする考え方では、「リターン」とは投資商品やポートフォリオをを運用する際の「期待される収益率(期待リターン)」のこと言い、これに対して、実現したリターンについて言及する場合は「実現リターン」と言い「期待リターン」と区別して考えます

一般的には、投資の話題で「リータン」と言えば、期待リターンを意味します。

それに対して「リスク」とは、実現リターン値がどの程度振れるかを表します。リスクが大きいとは、「実現リターン」の値が合理的に期待されるリターン、すなわち「期待リターン」から上下に大きく振れやすいということであり、リスクが小さいとは、「実現リターン」の値が「期待リターン」から大きく振れないことを言います。

リスクの計算方法

それでは、投資における「リスク」の計算方法を仮設例を使って解説していきます。

A社とB社が、過去5年間にグラフのようなパフォーマンスを記録したとします。

この場合、過去5年間の実現リータンの平均値は両社とも10%となり、リターンはどちらも10%と推定されます。

一方、リスクについてはA社とB社どちらが大きかったと言えるのか?これを数値で表現します。

リスクを示す「分散」「標準偏差」とは、元をたどれば統計学上の概念であり、対象となるデータ群の「平均値からの散らばり度合い」を示します。計算方法は難しいものではなく以下の通りになります。

分散={各年の発生確率×(各年の収益率-平均値)²}の合計
標準偏差=分散の平方根

A社のリスク

《手順①》平均値(リターンの推定値)を求める

{11+10+8+12+9}÷5=10%

《手順②》分散を求める

A社の例では、各年の発生確率は1/5(=20%)と考えます。
よって、分散=1/5×(11-10)²+…+1/5×(9-10)²=2

《手順②》標準偏差を求める

「分散の平方根=標準偏差」の関係から標準偏差が計算できます。
標準偏差=√2=1.4(%)

B社のリスク

《手順①》平均値(リターンの推定値)を求める

{20+(-15)+30+(-10)+25}÷5=10%

《手順②》分散を求める

B社の例では、各年の発生確率は1/5(=20%)と考えます。
よって、分散=1/5×(20-10)²+…+1/5×(25-10)²=350

《手順②》標準偏差を求める

「分散の平方根=標準偏差」の関係から標準偏差が計算できます。
標準偏差=√350=18.7(%)

以上により、標準偏差で測ったリスクは、A社=1.4%、B社18.7%と算出され、両社のリターンは同じ10%であったものの、A社よりB社の方がリスクが大きいと言えます。

また、両社のリスクに対するリターンの値を、

リスク1単位当たりのリターン=リターンの推定値÷標準偏差
で計算すると、A社は7.14(10%÷1.4%)となり、B社の0.53(10%÷18.7%)を大きく上回ります。つまり「A社の方がB社よりもリスク1単位当たりのリターンが大きい」言い換えれば「同じリターンに対してリスクがより小さい」ということです。

正規分布とは

自然界における多くの現象を調べると平均値を中心に釣鐘型の分布をしていることが確認され、これを「正規分布」と言います。現代ポートフォリオ理論においても、データの散らばり度合いを統計的数値として処理できるよにするために、リターンのデータ群が正規分布に従うものと仮定します。

そして、正規分布に従う現象において、

  • 平均値から「±標準偏差×1」の範囲に入る確率は約68%
  • 平均値から「±標準偏差×2」の範囲に入る確率は約95%
  • 平均値から「±標準偏差×3」の範囲に入る確率は約99%

であることが知られており、これを用いることでリターンの範囲を確率的に予想できます。それでは、A社とB社のリターンの範囲を予想していきます。

A社のリターンの範囲を予想

(前提)A社のリターン(収益率の平均)=10%
A社のリスク(標準偏差)=1.4%
・平均値±標準偏差×1
(10%±1.4%×1=8.6%~+11.4%)の範囲に入る確率は約68%

・平均値±標準偏差×2
(10%±1.4%×2=7.2%~+12.8%)の範囲に入る確率は約95%

・平均値±標準偏差×2
(10%±1.4%×3=5.8%~+14.2%)の範囲に入る確率は約99%

B社のリターンの範囲を予想

(前提)B社のリターン(収益率の平均)=10%
A社のリスク(標準偏差)=18.7%
・平均値±標準偏差×1
(10%±18.7%×1=-8.7%~+28.7%)の範囲に入る確率は約68%

・平均値±標準偏差×2
(10%±18.7%×2=-27.4%~+47.4%)の範囲に入る確率は約95%

・平均値±標準偏差×3
(10%±18.7%×3=–46.1%~+66.1%)の範囲に入る確率は約99%

このように、正規分布を用いることで「リターン」と「リスク」の関係性が一段と理解しやすくなります。

「リターン」と「リスク」

「リスク」と聞くと、「危険に遭う可能性」や「損をする可能性」のことを考えるがちですが、経済学的には「リスク」とは「変動による振れ幅」のことを指します。

経済学的に言えば、「リスクがない」ということは「変動による振れ幅がない=リターンがない」ということであり、「リスク」があるからこそ「リターン」が期待できるのです。

私たち日本人は、とかく「リスク」を忌み嫌いがちです。しかし、「リスク」がない世界なんて何処にもありませんし、「リスクがない」とあなたが信じているなら、それはあなたが都合よく思い込んでいるだけです。

近頃、テレビや新聞などで経済格差の話題を見聞きする機会が増えてきましたが、資本主義社会の中で経済格差が広がるのは当たり前のことで、至って健全なことです。なぜかと言えば、積極的に「リスク」を取りにいく人と「リスク」を取らない人が同様に扱われた場合、誰も「リスク」を取る人はいなくなり、そうなればイノベーションは何も起こらず世界は停滞してしまいます。

ただし、当然のことながら闇雲に「リスク」を取りに行けば、身の破滅が待っています。ですから、そうならないためにも「リスク」を取りながら、上手く「リスク」をコントロールする「リスクマネジメント」が大切になります。

「リスクマネジメント」を行うには、今日解説した現代ポートフォリオ理論をベースとする「リターン」と「リスク」の考え方は大変役に立ちますので、是非活用してみてください。

それではFinancial Goalを目指して!challenge to Financial Freedom !

注意
投資にリスクは付きものです。
投資判断は自己責任であることを忘れないようにしましょう。



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