インフレリスクへの備え(1)【デフレとインフレ】



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この度は、思うところがあって、インフレリスクへの備えについて書きたいと思います。

2012年12月26日に第2次安倍内閣が誕生し、安倍晋三内閣総理大臣が経済政策として掲げた「アベノミクス」がスタートして、あと少しで5年が経過しようとしています。

日本は、1990年代初頭にバブル経済が崩壊し、1990年代後半からは「失われた20年」と言われる長期の経済低迷に陥りました。そんな中、2012年12月26日に第2次安倍内閣が誕生して「アベノミクス」と言われる様々な経済政策を断行し、その経済政策の一環として日本銀行は、2013年1月に、「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定め、これをできるだけ早期に実現するため(今だ実現できていませんが…)に、量的金融緩和政策を推し進めて今日に至っています。

それらの成果の表れか、近頃は物やサービスが値上げするとの報道を見聞きする機会も増え、労働賃金も少しずつですが増加してきており(物価も上がっているのであまり実感がないかもしれまんが…)、徐々にではありますが、普通に生活していても、物価上昇を実感する機会が増えつつあると感じます。

しかし、日本政府・日本銀行が定める、「消費者物価の前年比上昇率2%」という目標は、裏を返せば、私たちの現在保有している現金や預貯金の実質価値が、1年ごとに2%ずつ減価していくということであり(世界的に見ればこれが正常なのですが…)、10年経てば20%、20年経てば40%、30年経てば半分以下の60%も減価してしまいます(そんな単純なものではありませんが…)。

私は、独立系ファイナンシャル・プランナーとして仕事をしていますが、お客様に資産運用のアドバイスをするうえでいつも気になることがあります。それは、多くのお客様がこの物価(貨幣の価値)は変動するということをイマイチ「理解していない」「理解できない」ということです(ファイナンシャル・プランナーの中でも理解できていない方が大勢いますが…)。

物価(貨幣価値)は変動するということを理解すれば、「老後の資金に3,000万円必要」「賃貸住宅と持ち家どちらが得か」といった、誰にも予測できない何10年も先の未来の話を、現在価値で比較して「あーだ」「こーだ」言ったところで意味のないことや、インフレリスクを念頭に置き、その時々の物価状況に照らし合わせてプランニングしない限り、20年、30年、40年もの先のマネープランを立てたところで、絵に描いた餅であり、机上の空論でしかないことは分かるはずです。

第二次大戦後、本格的なデフレに陥ったのは、世界中で日本だけであり、デフレに陥る前にはバブル崩壊という、大きな金融危機を経験したトラウマからか、多くの日本人は、現金や預貯金に強い信頼があります(デフレ時はそれが正解の一つですが…)。

しかし、2013年に本格的に「アベノミクス」のスタートし、徐々に「インフレ」の上昇速度が上がりつつある今後は、インフレリスクを念頭に置いて資産管理をしている方と、していない方では、月日が経てば経つほど保有する資産の格差が拡がるのでは?と私は懸念しています。

そこで今回は、インフレリスクへの備え(1)として(全3回の予定)、「デフレとインフレ」の基礎知識を解説していきます。

デフレーション(Deflation)とは

「デフレーション(デフレ)」を簡単に説明すると、

物やサービスの値段が下がっていくこと

を「デフレ」と言い、逆を言えば、貨幣(¥)の価値が物やサービスの価値より上がるのことと言い換えることができます。

そうに考えると、「デフレは、色んな物やサービスが安くなるので良い事じゃないか…」と考える人がいるかもしれませんが、当然良い事ばかりではありません。

物やサービスを安くしないと売れない⇒企業業績が悪化する⇒従業員の給与が上がらない(下がる)といった流れになると、さらに。この流れが慢性化し「デフレ」が深刻な事態に陥ります(デフレスパイラル)。その結果、企業の倒産、リストラが加速し、深刻な不況に陥ることになります。

インフレーション(inflation)

対して、「インフレーション(インフレ)」を簡単に説明すると、

物やサービスの値段が上がっていくこと

を「インフレ」と言い、逆を言えば、貨幣(¥)の価値が物やサービスの価値より下がることと言い換えることができ、発生原因によって分類したり上昇速度によって分類したりします。

発生原因によって分類されるものには、経済が成長(好況によって物やサービスの需要が増加)すると、経済全体で見た需要と供給のバランス(均衡)が崩れ、総需要が総供給を上回ることによって物価が上昇する需要インフレーション(ディマンドプル・インフレーション)、供給側の費用(コスト:原材料費 人件費 採掘費など)の上昇によって生じる供給インフレーション(コストプッシュ・インフレーション)、政府の発行した公債を中央銀行が引き受けること(財政ファイナンス、マネタイゼーション)により、貨幣の供給が増加して発生する財政インフレーション、市中銀行が貸付や信用保証を増加させることによって信用貨幣の供給量が増大することから発生する信用インフレーション、外国為替市場を経由して通貨が大量に供給されることで発生する為替インフレーションがあります。

そして、上昇速度により分類されるものには、インフレ率が年率数%と、徐々に物価高になっていくタイプのもので、経済が健全に成長して、望ましい状態と言われることが多いクリーピング・インフレーション、インフレ率が年率10%以上と、大幅に物価高となっていくタイプのもので、スタグフ・レーションに伴って生じることがあるギャロッピング・インフレーション、かなりの勢いで物価高となっていくハイパー・インフレーションがあります。

スタグフ・レーションとは
スタグフ・レーション(stagflation)とは、stagnation(停滞)とinflation(インフレーション)の合成語で、経済活動の停滞(不況)と物価の持続的な上昇が併存する状態のことです。雇用や賃金が減少する一方で、物価が上昇しますので(通常は、雇用や賃金が減少すると物価の下落が発生する)、収入が減るうえに、貨幣や預貯金の実質価値まで低下することになるので生活が苦しくなります。
ハイパー・インフレーションの定義
国際会計基準では、3年間で累積100%(年率約26%)以上の物価上昇を、経済学者フィリップ・ケーガンによる定義では月率50%(年率13,000%)を超える物価上昇を『ハイパー・インフレーション』と定義付けされていますが、一般的には、猛烈な勢いで進行するインフレーションは、ハイパー・インフレーションと呼ばれることが多いです。

現在の日本の状況は

それでは、現在の日本の物価状況はどのような状態でしょう?

私の個人的な分析では、発生要因として分類されるインフレで当てはまるのは、財政インフレーション為替インフレーションによる、供給インフレーション(コストプッシュ・インフレーション)で、まだ、需要インフレーション(ディマンドプル・インフレーション)には至っていない状況であり、本格的なデフレ脱却にはまだ至っていないと考えます。

日本政府や日本銀行が目標にしている「消費者物価の前年比上昇率2%」という安定目標を達成するには、消費者が財布の紐を緩めて、需要インフレーション(ディマンドプル・インフレーション)の状況に移行し、クリーピング・インフレーションの状態を保つ必要がありますが、今現在は、まだその段階には進んでおらず、下手するとスタグフ・レーションに突入することも十分考えられると思います(個人的には2019年10月に10%に引き上げられる消費税が景気にどのような影響を与えるか注目しています)。

また、日本政府や日本銀行の財務状況を考えれば、財務インフレーションが、何らかが引き金になって、ギャロッピング・インフレーション、ハイパーインフレーションへと加速することも絶対にないとは言い切れません。

次回は、過去の様々な物価の推移を見ていきながら、インフレ・リスクについて考えていきたいと思います。

それではFinancial Goalを目指して!challenge to Financial Freedom !

注意
投資にリスクは付きものです。
投資判断は自己責任であることを忘れないようにしましょう。



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