AT&T【T】は配当利回り5%超えの米国最王手の電気通信会社



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《2017年11月23日改訂》

AT&Tの概要

AT&T Inc.(エイ ティ アンド ティ)は、アメリカ合衆国テキサス州ダラスに本社を置く米国最大手の電気通信会社で、AT&Tとは、旧社名The American Telephone & Telegraph Companyの略です。

AT&Tの前身は、1876年に世界で初めて電話機を発明したグラハム・ベルが1877年に創業した「ベル電話会社」で、AT&Tは1885年に世界初の長距離電話会社として発足しました。当時の社長セオドア・ニュートン・ヴェイルが「One System One Policy Universal Service」を掲げ、「垂直統合」と「水平統合」と呼ばれる、研究開発から機材製造、市内交換から長距離交換までの事業を独占して展開し、電話機の研究開発、製造、市内交換や長距離交換までの通信事業を独占体制で行なえる会社に一代で成長させました。

しかし、1970年代に始まった反独占訴訟の結果、AT&Tは長距離電話部門だけを持つ会社となり、それ以外の事業は分割されることになります。地域電話部門は「アメリテック」「ベル・アトランティック」「ベルサウス」「ナイネックス」「パシフィック・テレシス」「サウスウェスタン・ベル」「USウエスト」の地域ベル電話会社に解体(これらは「ベビーベル」と呼ばれました)されることになり、研究開発を担当していたベル研究所も、AT&Tの子会社である「AT&Tテクノロジーズ」の傘下に入り分離されることになって、AT&Tの独占体制は終止符を打つことになりました。

その後、米国の電話産業は市場競争の時代に突入して競争が激化します。そうしたなか、1990年代後半に大手ケーブル会社TCIとメディアワンの買収に相次いで成功したAT&Tは、高速インターネット通信事業での成長を遂げ、2001年には「AT&Tワイヤレス」「AT&Tブロードバンド」「AT&Tコンシューマー」「AT&Tビジネス」の4事業体制となりましが、その後、「AT&Tワイヤレス」と「AT&Tブロードバンド」がそれぞれ買収されることになり、2005年にはついにSBCコミュニケーションズ(サウスウエスタンベル)が、AT&T自体(AT&T Corporation)を買収。SBCはブランド名として価値の高いAT&Tに社名を変更することを決定し、AT&T Incと改称して現在に至ります。

2006年には地域ベル電話会社である「ベルサウス」を買収し、長距離データ通信、長距離電話、携帯電話、公衆無線LANサービス、米国本土内の地域電話サービスを提供する巨大通信事業者へと成長。2014年にはディレクTVを485億ドルで買収、2016年にはタイムワーナー【TWX】を864億ドルで買収することを発表するなど、次の成長軸としてメディア・エンタメ事業をターゲットにしたM&Aを進めています。

過去10年のチャート(2017.11.23)

10年前(2007.11.16)の株価が39.55ドルで現在(2017.11.23)の株価は34.87と、この10年の間に株価の伸びはまったく見られません(むしろ下がっています)。リーマンショックの影響から一時期20ドル前半まで株価は下げていたので、その時に購入した人はそれなりに利が乗っています。米国を代表する株価指数「S&P500」「NYダウ平均株価指数」両指数と過去10年間のパフォーマンスを比較した場合、AT&Tのパフォーマンスは両指数を大きくアンダーパフォームしており、どちらのチャートを見てもキャピタルゲイン(売却益)を狙って買うような銘柄ではありません。

業績

売上高は安定しており2014年以降売上が急伸しています。粗利率も10年平均57.29%と高い水準で安定していますが緩やかな下降傾向を見せており、営業利益、純利益、EBITDAは年ごとにバラつきが大きく非常に不安定です。営業利益率は10年平均15.10%とまずまずの水準です。

※EBITDAに関しては2012年以前のデータを入れていません

営業利益率
企業の売上高に対する営業利益の割合のことで、企業の本業における収益性を判断する指標となります。
粗利率
「売上総利益率」とも言われ、企業の売上高に対して、粗利益が割合のことを言います。一般に粗利益率は、収益性や採算性を計る指標として、販売している商品・サービス等の利益率が高いかどうかをチェックする際に活用することができます。
EBITDA
金利、税、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費を引く前の利益(Earnings)のことです。

EPSはかなりのバラついています。ROEは10年平均11.50%、ROAは10年平均4.12%と、パッとしない数値が出ていて、このグラフを見る限りでは投資対効果は微妙と言わざるを得ません。

EPS(一株あたりの純利益)
税引き後の年間利益を発行済み株式数で割った比率です。
ROE(自己資本利益率)
自己資本がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で、高いほど収益力が高いといえます。
ROA(総資本利益率)
純資産+負債を含めたすべての資金(総資本)がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で高いほど収益力が高いといえます。

キャッシュフロー

営業CFマージンは10年平均26.3%と非常に高く、営業CFは高い水準で安定しています。しかし、営業CFの半分以上を投資CFが常に吸い上げてしまい、フリーCFは安定こそしていますが比率は低く抑えられてしまいます。AT&Tの財務諸表を分析して感じることは、通信事業は設備の維持管理のため莫大な設備投資を必要とするため「入ってくるお金は多いけれど、出ていくお金も多い」ビジネスだということです。

営業CF(営業キャッシュフロー)
企業本来の営業活動(本業)により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
投資CF(投資キャッシュフロー)
企業の将来に対する投資により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
フリーCF(フリーキャッシュフロー)
企業が自由に使える資金。事業の拡大、債務の返済、配当などにあてられます。
営業CFマージン(営業キャッシュフローマージン)
売上高から、どれくらい営業CFを生み出したを判断する指標で、比率が高いほど収益性が高いといえます。

DPSと配当性向

増配率は低くDPSの傾斜も緩やかですが。増配は32年継続していて、Dividend Aristcrat(配当貴族)銘柄です。投資家への還元意欲は強く、配当性向は年によっては100%を超えています(いわゆるタコ足配当です)。

DPS(一株あたりの配当)
株主に還元される一株あたりの年間配当額です。
配当性向
税引き後の利益のうち、配当金の支払いに向けられる比率です。

バリュエーション(2017.11.23現在)

PER(実績):16.50倍
PER(予想):11.79倍

PER(株価収益率)
株価が一株あたりの利益の何倍になっているかを表す尺度で、株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断されますが、業種によって水準が異なりますので、同業種間や経営内容が似ている企業間での比較に用いるのに適しています。

PERには、予想PERと実績PERがあり、予想PERとは今期の予想値を基に算出したもので、実績PERとは、直近の決算における実績値を基に算出されたものです。

PBR:1.69倍
PBR(株価純資産倍率)
1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表す尺度で株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断され、過去の同企業のPBRと比較して、現在の水準が割安であるか?を判断するのに役立ちます。

直近配当利回り:5.62%

まとめ

日本でもNTT、KDDI、ソフトバンクの3社が国内の通信市場のパイを奪い合っているように、米国では日本以上に、ベライゾンコミュニケーションズ【VZ】、AT&T、T-モバイル【TMSC】、スプリント【S】の4社が、国内の限られたパイを奪い合っています。

このような状況のなか、AT&Tの現状は加入者の減少や激しい値下げ競争によって利益は削がれ、データー通信量の増加に伴い莫大な設備投資を必要とするなど、財務諸表を見て分析した感じでは、正直、投資対象としてはどうかな?というのが率直な印象です。

AT&Tの経営陣もこのような状況に危機感があるからこそ、ディレクTVの買収やタイムワーナーの買収合意(後者はトランプ大統領が反対しています)のような、コンテンツを配信する側から、独自コンテンツを制作して提供する側へと事業を拡大しており、これらの事業が軌道に乗るかどうかが今後を占う試金石になりそうです。

しかし、メディア・エンタメ事業には、ウォルト・ディズニー【DIS】やニューズ・コーポレーション【NWS】、コムキャスト【CMCSA】、バイアコム【VIAB】といった巨大メディアグループをはじめ、ストリーミング配信事業で急成長しているネットフリックス【NFLX】やアマゾン【AMZN】という強力な競合が存在していて、たとえタイムワーナーの買収が規制当局の承認を取り付けて無事に完了したとしても、ただでさえ世界最大の社債発行体であるAT&Tが更に莫大な借金を背負うということになり、メディア・エンタメ事業で失敗すれば、取り返しのつかないことになることも考えられます。

ただ、AT&Tの経営者も、勝てると踏んでメディア・エンタメ事業への進出を強めているわけなので、株主としては頑張って利益をあげていただき、これまで通り利益を還元し続けてくれることを期待しています。

それではFinancial Goalを目指して!challenge to Financial Freedom !

注意
投資にリスクは付きものです。
投資判断は自己責任であることを忘れないようにしましょう。



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