AT&T【T】は配当利回り6%超えの米国最王手の電気通信会社



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《2018年6月22日改訂》

AT&Tの概要

AT&T Inc.(エイ ティ アンド ティ)は、アメリカ合衆国テキサス州ダラスに本社を置く米国最大手の電気通信会社で、AT&Tとは、旧社名The American Telephone & Telegraph Companyの略です。

AT&Tの前身は、1876年に世界で初めて電話機を発明したグラハム・ベルが1877年に創業した「ベル電話会社」で、AT&Tは1885年に世界初の長距離電話会社として発足しました。

当時の社長セオドア・ニュートン・ヴェイルは「One System One Policy Universal Service」を掲げ、「垂直統合」と「水平統合」と呼ばれる、研究開発から機材製造、市内交換から長距離交換までの事業を独占して展開し、電話機の研究開発、製造、市内交換や長距離交換までの通信事業を独占体制で行なえる会社に一代で成長させます。

しかし、1970年代に始まった反独占訴訟の結果、AT&Tは長距離電話部門だけを持つ会社となってしまい、それ以外の事業は分割されることになります。

地域電話部門は「アメリテック」「ベル・アトランティック」「ベルサウス」「ナイネックス」「パシフィック・テレシス」「サウスウェスタン・ベル」「USウエスト」の地域ベル電話会社に解体(これらは「ベビーベル」と呼ばれました)され、研究開発を担当していたベル研究所は、AT&Tの子会社である「AT&Tテクノロジーズ」の傘下に入り分離されることになって、AT&Tの独占体制は終止符が打たれました。

その後、米国の電話産業は市場競争の時代に突入して競争が激化。そうしたなか、1990年代後半に大手ケーブル会社TCIとメディアワンの買収に相次いで成功したAT&Tは、高速インターネット通信事業での成長を遂げ、2001年には「AT&Tワイヤレス」「AT&Tブロードバンド」「AT&Tコンシューマー」「AT&Tビジネス」の4事業体制となりましが、その後、「AT&Tワイヤレス」と「AT&Tブロードバンド」がそれぞれ買収されることになり、2005年にはついにSBCコミュニケーションズ(サウスウエスタンベル)が、AT&T自体(AT&T Corporation)を買収。SBCはブランド名として価値の高いAT&Tに社名を変更することを決定し、AT&T Incと改称して現在に至ります。

2006年には地域ベル電話会社である「ベルサウス」を買収し、長距離データ通信、長距離電話、携帯電話、公衆無線LANサービス、米国本土内の地域電話サービスを提供する巨大通信事業者へと成長。2014年にはディレクTVを485億ドルで買収、2016年にはタイムワーナー【TWX】を864億ドルで買収することを発表(2018.6.14に買収手続き完了)するなど、次の成長軸としてメディア・エンタメ事業をターゲットに事業を拡大しています。



業績


2017年の純利益が急伸しているのは、税制改革によって繰延税金負債の再評価益を計上したからです。

売上高は安定していますが、営業利益、純利益、EBITDAは年ごとのバラつきが大きく不安定です。粗利率は緩やかな下降線を描いていますが10年平均56.40%と高い水準をキープしており、営業利益率は10年平均14.69%とまずまずの水準です。

※EBITDAに関しては2012年以前のデータを入れていません

営業利益率
企業の売上高に対する営業利益の割合のことで、企業の本業における収益性を判断する指標となります。
粗利率
「売上総利益率」とも言われ、企業の売上高に対して、粗利益が割合のことを言います。一般に粗利益率は、収益性や採算性を計る指標として、販売している商品・サービス等の利益率が高いかどうかをチェックする際に活用することができます。
EBITDA
金利、税、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費を引く前の利益(Earnings)のことです。

純利益のバラツキが大きいため、それに伴いEPS、ROE(10年平均12.70%、ROA(10年平均4.38%も不安定にバラついています。

また、2017年にEPS、ROE、ROAがそれぞれ急伸しているのは、先程もふれたように税制改革によって繰延税金負債の再評価益が計上され、純利益が増加したことによるものです。

EPS(一株あたりの純利益)
税引き後の年間利益を発行済み株式数で割った比率です。
ROE(自己資本利益率)
自己資本がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で、高いほど収益力が高いといえます。
ROA(総資本利益率)
純資産+負債を含めたすべての資金(総資本)がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で高いほど収益力が高いといえます。



CF(キャッシュフロー)


営業CFは高い水準で安定しており、営業CFマージンは10年平均26.50%と非常に高い数値を叩き出しています。しかし、常に営業CFの半分以上が投資CFに吸い上げられることから、フリーCFの比率は低く抑えられています。

AT&Tの財務諸表を分析して個人的に感じるのは、通信事業は設備の維持管理のため莫大な費用を必要とし、「入ってくるお金は多いけれど、出ていくお金(設備投資)も多い」ビジネスだということです

営業CF(営業キャッシュフロー)
企業本来の営業活動(本業)により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
投資CF(投資キャッシュフロー)
企業の将来に対する投資により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
フリーCF(フリーキャッシュフロー)
企業が自由に使える資金。事業の拡大、債務の返済、配当などにあてられます。
営業CFマージン(営業キャッシュフローマージン)
売上高から、どれくらい営業CFを生み出したを判断する指標で、比率が高いほど収益性が高いといえます。



配当と配当余力

この10年のDPSは、判を押したように毎年4セントの増配を継続しており、連続増配年数は33年になります。だだし、配当性向は年によっては100%を超えることもあり(いわゆるタコ足配当です)、今後の配当政策がどうなるか気になるところです。

DPS(一株あたりの配当)
株主に還元される一株あたりの年間配当額です。
配当性向
税引き後の利益のうち、配当金の支払いに向けられる比率です。



バリュエーション(2018.6.22現在)

PER(実績):19.05倍
PER(予想):9.44倍

PER(株価収益率)
株価が一株あたりの利益の何倍になっているかを表す尺度で、株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断されますが、業種によって水準が異なりますので、同業種間や経営内容が似ている企業間での比較に用いるのに適しています。

PERには、予想PERと実績PERがありますが、予想PERとは今期の予想値を基に算出したもので、実績PERとは、直近の決算における実績値を基に算出されたものです。

PBR:1.35倍
PBR(株価純資産倍率)
1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表す尺度で株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断され、過去の同企業のPBRと比較して、現在の水準が割安であるか?を判断するのに役立ちます。

直近配当利回り:6.25%



まとめ

日本でもNTT、KDDI、ソフトバンクの3社が国内の通信市場のパイを奪い合っているように、米国では日本以上に、ベライゾンコミュニケーションズ【VZ】、AT&T、T-モバイル【TMSC】、スプリント【S】の4社が、国内の限られたパイを奪い合っています。

このような状況のなか、AT&Tの現状は加入者の減少や激しい値下げ競争によって利益は削がれ、データー通信量の増加に伴い莫大な設備投資を必要とするなど、財務諸表を見て分析した感じでは、正直、投資対象としてはどうかな?というのが率直な感想です。

AT&Tの経営陣もこのような状況に危機感があるからこそ、ディレクTVの買収やタイムワーナーの買収(2018.6.14買収手続き完了)のような、コンテンツを配信する側から、独自コンテンツを制作して提供する側へと事業を拡大しており、これらの事業が軌道に乗るかどうかが今後を占う試金石になりそうです。

しかし、メディア・エンタメ事業には、ウォルト・ディズニー【DIS】やニューズ・コーポレーション【NWS】、コムキャスト【CMCSA】、バイアコム【VIAB】といった巨大メディアグループをはじめ、ストリーミング配信事業で急成長しているネットフリックス【NFLX】やアマゾン【AMZN】といった強力な競合が存在しており、ただでさえ世界最大規模の社債発行体であるAT&Tが、メディア・エンタメ事業で失敗すれようなことになれば、取り返しのつかないことにもなりかねません。

ただし、AT&Tの経営陣も、それを承知の上で勝てると見込んでメディア・エンタメ事業への進出を強めているわけであり、株主としては頑張って利益をあげていただき、これまで通り利益を株主に還元し続けてくれることを期待しています。

それではFinancial Goalを目指して!challenge to Financial Freedom !

注意
投資にリスクは付きものです。
投資判断は自己責任であることを忘れないようにしましょう。



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