アルトリアグループ【MO】は安定の高配当銘柄



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《2017年11月20日改訂》

アルトリアグループの概要

アルトリアグループ(Altria Group Inc)はアメリカ合衆国ニューヨーク州に本社を置く、米国トップのタバコ会社フィリップモリスUSAやワイン事業のサン・ミッシェル・ワイン・エステーツなどを傘下とする持ち株会社で、2008年2月19日まではNYダウ工業株30種構成銘柄でした。

米国のタバコ市場の状況は、アルトリアグループと現在ブリティッシュアメリカンタバコ傘下のレイノルズアメリカンの2社がほぼ寡占していて、Marlboro(マールボロ) を主力製品とするアルトリアグループが約半分のシェアを誇ります。

アルトリアグループは、タバコ事業から安定して生み出される多額のキャッシュを次の事業(主に食品事業)へと投資すること成長してきた歴史があり、これまでスピンオフさせた事業も多く存在します。事業買収やスピンオフ、社名変更など、このあたりはごちゃごちゃしてわかりにくいので、時系列でまとめて行くと、

  • 1970年:ミラービールを買収
  • 1985年:ゼネラルフーズを買収
  • 1988年:クラフトを買収
  • 2001年:ナビスコホールディングスを買収し、傘下のゼネラルフーズ、クラフト、ナビスコホールディングスを1社にまとめ、クラフトフーズの名前で統一。新規公開株として16%を売却
  • 2002年:ミラービールを英国のSAB(サウスアフリカンブルワリーズ)に売却(28%のSABミラー株式を保有)
  • 2003年:社名をフィリップモリスからアルトリアグループへ変更
  • 2007年:クラフトフーズをスピンオフ。
  • 2008年:海外のタバコ事業をフィリップモリスインターナショナルとしてスピンオフ、米国の無煙タバコ大手USTを買収
  • 2014年:米国の電子タバコメーカーグリーンスモーク買収
  • 2016年:ベルギーのビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブがSABミラーを買収(10.2%の株式を保有)

という経緯を辿って現在に至っており、実際に現在も経営している食品部門は、UST買収によって手に入れたサン・ミッシェル・ワイン・エステーツぐらいで、アンハイザー・ブッシュ・インベブについては大株主としての影響力を今も保持しています。

ちなみに、2007年にスピンオフしたクラフトフーズは、2015に3Gキャピタルとバフェット率いるバークシャー・ハザウェイの手によってケチャップで有名なハインツと合併し「クラフトハインツ」社となり、現在はアルトリアグループと無関係です。

アルトリアグループ【MO】とフィリップモリスインターナショナル【PM】の違いは、アトリアグループは米国内でのタバコの販売のほかに、ワインやアンハイザー・ブッシュ・インベブの大株主などのタバコ以外の収入源があるのに対して、フィリップモリスインターナショナルは、米国外へのタバコの販売に特化していることです。元々フィリップモリスインターナショナルのスピンオフは、米国でのタバコ訴訟による戦略上の不透明感を払拭し、海外での買収拡大をしやすくするという思惑があったためと言われており、将来的には再度合流する可能性も囁かれています。

過去5年のチャート(2017.11.20現在)

2008年3月に株価が急降下しているのは、フィリップモリスインターナショナルをスピンオフした際に、株主に【PM】株を割り当てて【MO】株と分割したのが原因です。その後、株価は綺麗に右肩上がりの上昇を続けていましたが、7月末に米国食品医薬品局(FDA)が「タバコ製品に含まれるニコチンを常習性のない水準にまで減らす新規制」を検討していることを公表した後は株価は急落し執筆時現在も低迷したままです。次は米国を代表するS&P500、NYダウ平均株価、両指数とのパフォーマンスを比較します。フィリップモリスインターナショナルをスピンオフする前を入れてしまうと比較にならないので、10年間ではなく9年間のパフォーマンスで比較します。S&P500が+166.19%、NYダウ平均株価が+150.49%とどちらの指数も年率平均16%以上という素晴らしいパフォーマンスを見せていますが、アルトリアグループのパフォーマンスはそれらを更に上回るもので、年率平均34.28%という驚異的なパフォーマンスを見せています。

ただこれらの数値は、タイミング(リーマンショック後)などたまたまな要素が強く、今後もアルトリアグループがこのようなパフォーマンスを記録できるかというとその可能性は小さいです。

業績

2008年の業績が2007年に半減しているのは度々説明しているように、フィリップモリスインターナショナルの分社前だからです。2007年以降の売上高は微増or横ばいといった感じですが、特筆すべきは営業利益率と粗利率の高さで、営業利益率は9年平均39.53%、粗利率は9年平均55.36%と非常に高い収益性を誇っています。2016年に純利益、EBITDA、EPSが跳ね上がっているのは、アンハイザー・ブッシュ・インベブのSABミラー買収に関連した為替ヘッジ取引で特別収益が発生したためです。

※EBITDAに関しては2012年以前のデータを入れていません。

営業利益率
企業の売上高に対する営業利益の割合のことで、企業の本業における収益性を判断する指標となります。
粗利率
「売上総利益率」とも言われ、企業の売上高に対して、粗利益が割合のことを言います。一般に粗利益率は、収益性や採算性を計る指標として、販売している商品・サービス等の利益率が高いかどうかをチェックする際に活用することができます。
EBITDA
金利、税、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費を引く前の利益(Earnings)のことです。

EPSは少しずつ増加し、ROAも9年平均14.69%と優秀な数値です。しかし、グラフを見て一際目を引くのが異常に高いROEで、この5年間は常に120%を超えています。アルトリアグループは借金による株主還元で株価を維持しており、自己資本が薄いためROEは高めに算出されますが、その影響を抜きにしても非常に高い収益性がこれらの数値から伺い知れます。

EPS(一株あたりの純利益)
税引き後の年間利益を発行済み株式数で割った比率です。
ROE(自己資本利益率)
自己資本がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で、高いほど収益力が高いといえます。
ROA(総資本利益率)
純資産+負債を含めたすべての資金(総資本)がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で高いほど収益力が高いといえます。

キャッシュフロー

 

9年平均の営業CFマージンが23.63%という高い収益性に対して、投資CFは非常に少ないです。タバコ産業は新規の設備投資があまり必要なく(電子タバコの開発費くらい?)、ビジネス柄、宣伝広告もマーケティング費用も不要という新規投資をあまり必要としないビジネスです。更に米国はタバコに関する規制が非常に厳しいことから、米国に特化しているアルトリアグループの場合は、なお一層この傾向が強いと思われます。こうしたことから「営業CF=フリーCF」といっても良いくらいに潤沢なキャッシュが確保できています。

営業CF(営業キャッシュフロー)
企業本来の営業活動(本業)により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
投資CF(投資キャッシュフロー)
企業の将来に対する投資により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
フリーCF(フリーキャッシュフロー)
企業が自由に使える資金。事業の拡大、債務の返済、配当などにあてられます。
営業CFマージン(営業キャッシュフローマージン)
売上高から、どれくらい営業CFを生み出したを判断する指標で、比率が高いほど収益性が高いといえます。

DPSと配当性向

綺麗な右肩上がりでDPSは伸びています。配当性向はほぼ8割のラインで推移しており、増配の余裕はなさそうに見えるのですがキッチリと増配をこなしながら配当性向もほぼ8割のラインをキープしています。また、アルトリアグループは、配当で株主に還元するだけでなく自社株買いも積極的に行っており株主に還元する意欲の強い企業です

DPS(一株あたりの配当)
株主に還元される一株あたりの年間配当額です。
配当性向
税引き後の利益のうち、配当金の支払いに向けられる比率です。

バリュエーション(2017.11.20現在)

PER(実績):8.31
PER(予想):20.21倍
実績PERが低いのは、アンハイザー・ブッシュ・インベブのSABミラー買収に関連した特別収益の影響で純利益が一時的に膨らんだためです。

PER(株価収益率)
株価が一株あたりの利益の何倍になっているかを表す尺度で、株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断されますが、業種によって水準が異なりますので、同業種間や経営内容が似ている企業間での比較に用いるのに適しています。

PERには、予想PERと実績PERがあり、予想PERとは今期の予想値を基に算出したもので、実績PERとは、直近の決算における実績値を基に算出されたものです。

PBR:10.43倍
PBR(株価純資産倍率)
1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表す尺度で株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断され、過去の同企業のPBRと比較して、現在の水準が割安であるか?を判断するのに役立ちます。

直近配当利回り:3.97%

まとめ

米国食品医薬品局(FDA)が検討に入った「タバコ製品に含まれるニコチンを常習性のない水準にまで減らす新規制」の話題のように、タバコ産業の問題としては、やはり健康被害の話を避けては通れません。実際に喫煙者は生活習慣病や三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)を引き起こすリスクが高まると言われていて、多くの研究結果が発表されています。そうしたことから、健康志向の強い先進国では年々喫煙人口が減少しており、特に若者のタバコ離れが顕著になっています。

このような情勢もあって、将来のタバコ産業に悲観的になる人が多いですが、私個人の考えではタバコ産業の将来に対して、あまり心配していません。

紙巻タバコから加熱式タバコや電子タバコへの移行、より健康志向の強い商品への移行は進んでいくと思いますが、タバコに含まれるニコチンには依存性があるため一定以上の愛煙家は必ず存在すると思いますし、このところも売上本数の減少を値上げによって喫煙者に転換することで安定的に利益を上げ続けていて、タバコ自体の販売を禁止する法律の施行などがない限り、今後も安定的に利益を上げていくものと考えています。

タバコ産業は、新規に設備投資する必要があまりなく、規制などによって大々的に広告を打つようなことができないこともあって(モータースポーツなどでは、過去、タバコ会社がメインスポンサーだった時代がありましたが…)、非常に収益性が高いビジネスモデルが構築されています。また、規制などによって新規参入への障壁が高い寡占市場であり、激しい競合にさらされることなく、莫大なキャッシュを生み出し続けています。

フィリップモリスインターナショナルが先行販売している加熱式タバコ「IQOS」も現在米国食品医薬品局(FDA)に申請中であり、アジアやヨーロッパでの「IQOS」の成功を見ると、申請が通れば面白いことになるかも知れないと期待しています。

それではFinancial Goalを目指して!challenge to Financial Freedom !

注意
投資にリスクは付きものです。
投資判断は自己責任であることを忘れないようにしましょう。



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