アルトリアグループ【MO】は安定の高配当銘柄



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《2018年6月7日改訂》

アルトリアグループの概要

アルトリアグループ(Altria Group Inc)は、米国トップのタバコ会社フィリップモリスUSAやワイン事業のサン・ミッシェル・ワイン・エステーツなどを傘下とする持ち株会社で、アメリカ合衆国ニューヨーク州に本社があります。

米国のタバコ市場は、アルトリアグループと現在ブリティッシュアメリカンタバコ傘下のレイノルズアメリカンの2社がほぼ寡占していて、Marlboro(マールボロ) を主力製品とするアルトリアグループは約半分のシェアを誇ります。

アルトリアグループは、タバコ事業から安定して生み出される多額のキャッシュを次の事業(主に食品事業)へと投資すること成長してきた歴史があり、これまでスピンオフさせた事業も多く存在します。

事業買収やスピンオフ、社名変更等、このあたりはゴチャゴチャしているので、時系列でまとめると、

  • 1970年:ミラービールを買収
  • 1985年:ゼネラルフーズを買収
  • 1988年:クラフトを買収
  • 2001年:ナビスコホールディングスを買収し、傘下のゼネラルフーズ、クラフト、ナビスコホールディングスを1社にまとめ、クラフトフーズの名前で統一。新規公開株として16%を売却
  • 2002年:ミラービールを英国のSAB(サウスアフリカンブルワリーズ)に売却(28%のSABミラー株式を保有)
  • 2003年:社名をフィリップモリスからアルトリアグループへ変更
  • 2007年:クラフトフーズをスピンオフ。
  • 2008年:海外のタバコ事業をフィリップモリスインターナショナルとしてスピンオフ、米国の無煙タバコ大手USTを買収
  • 2014年:米国の電子タバコメーカーグリーンスモーク買収
  • 2016年:ベルギーのビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブがSABミラーを買収(10.2%の株式を保有)

という経緯を辿って現在に至っており、実際に現在も経営している食品部門は、UST買収によって手に入れたサン・ミッシェル・ワイン・エステーツぐらいのもので、アンハイザー・ブッシュ・インベブについては大株主としての影響力を今も保持しています。

ちなみに、2007年にスピンオフしたクラフトフーズは、2015年に3Gキャピタルとバフェット率いるバークシャー・ハザウェイの手によってケチャップで有名なハインツと合併し「クラフトハインツ」社となりました。現在はアルトリアグループと無関係です。

アルトリアグループ【MO】とフィリップモリスインターナショナル【PM】の違いは、アトリアグループは米国内でのタバコの販売のほかに、ワインやアンハイザー・ブッシュ・インベブの大株主などのタバコ以外の収入源があるのに対して、フィリップモリスインターナショナルは、米国外へのタバコの販売に特化していることです。

元々、フィリップモリスインターナショナルのスピンオフは、米国でのタバコ訴訟による戦略上の不透明感を払拭して海外での買収拡大をしやすくするといった思惑があったためと言われていて、将来的には再度合流する可能性も囁かれています。

 

業績


売上高は微増or横ばいといった感じですが、特筆すべきは営業利益率と粗利率のアベレージです。営業利益率は10年平均40.48%、粗利率は10年平均55.95%と、伴にハイアベレージを叩き出していて非常に高い収益力を誇っています。

また、2016年に純利益、EBITDAが大きく跳ね上がっているのは、アンハイザー・ブッシュ・インベブのSABミラー買収に関連した為替ヘッジ取引で特別収益が発生したため。2017年に純利益、EBITDAが跳ね上がっているのは税制改革に伴って34憶ドルの一時収益を計上したことによるもので一時的なものです。

※EBITDAに関しては2012年以前のデータを入れていません。

営業利益率
企業の売上高に対する営業利益の割合のことで、企業の本業における収益性を判断する指標となります。
粗利率
「売上総利益率」とも言われ、企業の売上高に対して、粗利益が割合のことを言います。一般に粗利益率は、収益性や採算性を計る指標として、販売している商品・サービス等の利益率が高いかどうかをチェックする際に活用することができます。
EBITDA
金利、税、有形固定資産の減価償却費、無形固定資産の償却費を引く前の利益(Earnings)のことです。

先程も触れましたが2016年と2017年は一時的な特殊要因によって純利益が跳ね上がっており、そのため導き出されるデータはあまり当てになりません。

ただし、その件を差し引いてもEPSは少しずつ伸びており、ROAも2016、2017年を除けば8年平均で12.00%といった優秀な数値を叩き出しています。

また、グラフを見て一際目を引くのが異様に高いROEの数値ですが、アルトリアグループは自己資本が薄いためにROEは高めに算出されます。

EPS(一株あたりの純利益)
税引き後の年間利益を発行済み株式数で割った比率です。
ROE(自己資本利益率)
自己資本がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で、高いほど収益力が高いといえます。
ROA(総資本利益率)
純資産+負債を含めたすべての資金(総資本)がどれだけ効率的に使われているかを見る指標で高いほど収益力が高いといえます。

キャッシュフロー


10年平均の営業CFマージンのアベレージが23.79%という非常に高い収益力に対して、タバコ産業は新規の設備投資をあまり必要とせず(電子タバコの開発費くらい?)、ビジネス柄、宣伝広告もマーケティング費用も不要という、投資をあまり必要としないビジネスモデルが構築されています。

そして、米国はタバコに関する規制が非常に厳しく、米国に特化しているアルトリアグループの場合は、一層この(投資資金をあまり必要としない)傾向が強いと思われます。そのような理由から「営業CF=フリーCF」といっても過言でない「潤沢なキャッシュ」を確保できています。

営業CF(営業キャッシュフロー)
企業本来の営業活動(本業)により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
投資CF(投資キャッシュフロー)
企業の将来に対する投資により発生したキャッシュフロー(現金の流れ)です。
フリーCF(フリーキャッシュフロー)
企業が自由に使える資金。事業の拡大、債務の返済、配当などにあてられます。
営業CFマージン(営業キャッシュフローマージン)
売上高から、どれくらい営業CFを生み出したを判断する指標で、比率が高いほど収益性が高いといえます。

DPSと配当性向


DPSは綺麗な右肩上がりで伸びています。グラフを見た感じでは増配の余裕はなさそうに見えますが、キッチリと増配をこなしながらも配当性向はほぼ8割のラインをキープしています。また、アルトリアグループは、配当で株主に還元するだけではなく、自社株買いも積極的に行っていて株主に還元する意欲の強い企業です

DPS(一株あたりの配当)
株主に還元される一株あたりの年間配当額です。
配当性向
税引き後の利益のうち、配当金の支払いに向けられる比率です。

バリュエーション(2018.6.7現在)

PER(実績):14.66倍
PER(予想):14.06倍

PER(株価収益率)
株価が一株あたりの利益の何倍になっているかを表す尺度で、株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断されますが、業種によって水準が異なりますので、同業種間や経営内容が似ている企業間での比較に用いるのに適しています。

PERには、予想PERと実績PERがあり、予想PERとは今期の予想値を基に算出したもので、実績PERとは、直近の決算における実績値を基に算出されたものです。

PBR:6.93倍

PBR(株価純資産倍率)
1株当たりの純資産に対し、株価が何倍まで買われているかを表す尺度で株価が割高か割安かを判断する目安として利用されます。低い方が株価は割安と判断され、過去の同企業のPBRと比較して、現在の水準が割安であるか?を判断するのに役立ちます。

直近配当利回り:4.97%

まとめ

昨年、米国食品医薬品局(FDA)が検討に入った「タバコ製品に含まれるニコチンを常習性のない水準にまで減らす新規制」がニュースになったように、タバコ会社は健康被害の問題を避けては通れません。

実際、喫煙者は生活習慣病や三大疾病(がん・心筋梗塞・脳卒中)を引き起こすリスクが高まると叫ばれていて、多くの研究成果が発表されています。こうした背景もあって、健康志向が高まっている先進各国では年々喫煙人口が減少し続けており、特に若者のタバコ離れは顕著になっています。

そんなことから、タバコ産業の未来には悲観的な意見が多いですが、私自身はタバコ産業の未来に対して、あまり悲観的に考えていません。

従来の紙巻タバコから、加熱式タバコや電子タバコへの移行といった「より健康志向の強い商品への移行」は進むと思いますが、加熱式タバコや電子タバコも年を追うごとにデバイスが改善され、より良い製品(より健康に配慮されつつ、吸い味の良い製品)がリリースされるはずですし、タバコに含まれるニコチンには依存性があるため一定以上の愛煙家は必ず存在すると思われます。

また、近年は売上本数の減少を値上げによって喫煙者に転換することで安定的に利益を上げ続けており、タバコ自体の販売を禁止するような法律の施行でもない限り、今後も安定的に利益を上げていくのでは?と個人的には考えています。

アルトリアグールプ(フィリップモリス)はタバコによる健康被害の訴訟によって莫大な損害賠償を課されながらも、抜群の「キャッシュを稼ぐ力」によって、しぶとく生き残ってきました。この「キャッシュを稼ぐ力」に衰えがでない限り、アルトリアグールプは安心して長期間ホールドできる銘柄だと私は考えています。

それではFinancial Goalを目指して!challenge to Financial Freedom !

注意
投資にリスクは付きものです。
投資判断は自己責任であることを忘れないようにしましょう。



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