希望の党の内部留保に関するとんでも公約が気になる件



【スポンサーリンク】

衆議院選挙がいよいよ始まりましたが、小池百合子東京都知事が代表を務める「希望の党」が企業の内部留保に課税するという訳のわからない公約を掲げています。

希望の党は6日、衆院選公約を正式に発表した。代表の小池百合子東京都知事が掲げている2019年10月予定の消費税率の10%への引き上げ凍結、30年までに原発ゼロを目指す方針を明記。消費増税の代替財源として、大企業が利益を蓄積した内部留保に課税を検討する方針を示した。憲法改正については「9条を含め議論を進める」とし、国民の知る権利や地方分権の明記も掲げた。

 

政治家やマスコミの方たちは「内部留保」とは何かを理解して、このような「とんでも公約」や「とんでも記事」「とんでも発言」を堂々と、発表、報道しているのでしょうか?

内部留保とは

内部留保とは、企業の税引後の利益から、配当や役員賞与などの形で社外に流出する分を除いた額を表し、会計上の勘定科目で言うと、利益余剰金や資本準備金といった「純資産の部」に計上される項目がこれに該当します(内部留保という言葉自体、企業会計では使わない言葉です)。

バランスシート(BS)で見ると、

右側の下部に赤字で記載されている「利益余剰金」の部分が、いわゆる「内部留保」と言われるものです。

簿記の知識がある人には、説明不要ですが、バランスシートの右側は「お金の調達方法(借方)」を左側は「調達したお金をどのような形でもっているか(貸方)」をそれぞれ表しています。

それではここで質問です。

このバランスシートを見て考えてみてください。「内部留保」とはそもそも誰のものでしょうか?


答えは「株主のもの」です。

バランスシートを見たら分かるように、内部留保(利益余剰金)とは、純資産(自己資本)の一部であり、純資産をどのように調達するかといえば、それは、企業が株式を発行して調達するものなので、本来は、配当金として全て株主に払うスジのものです。

しかし、配当金として支払うよりも(配当金には約20%課税されます)、その資金を仕入れや設備投資にまわしたほうが、より多くの利益を株主に還元できると考えて、その資金を配当として会社の外に出さず、利益を溜めているものが内部留保です。実質的には既存の株主から株の発行で資金を調達した状態(企業は株主からお金を出資してもらっている状態)、より簡単に言えば、既存の株主が配当で受け取るはずだったお金を再投資した状態と言えます。

よく、新聞、テレビなどの報道で、「内部留保を従業員の賃上げに使え」だの「企内部留保を従業員に還元しろ」なんてことを、見聞きしますが、内部留保(利益余剰金)がどんなものか理解していれば、これらの発言が、どれだけとんでも発言であり、トンチンカンなことを言っているのかが分かるのではないでしょうか?

内部留保とは、会社の金庫の中にキャッシュ(現金)としてあるものではなく、再投資されて会社の設備や在庫になっているものがほとんどで、企業会計上「内部留保」というお金は存在しませんし、「内部留保を取り崩して従業員の賃上げに使う」なんてことはできません(借金して従業員の賃上げをするようなものです)。まして、内部留保(利益余剰金)を、勝手に使ってしまったら経営者が株主代表訴訟で訴えられることになりかねません。

仮に内部留保に課税することになれば、利益余剰金はすべて留保課税を避け配当金として株主に支払われるのがオチで、政府は新たな税収も得られず、民間企業の資金繰りを圧迫するだけのことなのです。

内部留保と現預金

どうも、政治家の先生、マスコミの人たちは、バランスシートの左(借方)右(貸方)の違いもわからないような経済オンチ、金融オンチの集まりのようです(わかっていて、国民を扇動しているのであれば、尚更タチが悪いです)。

企業が自由に(従業員の賃金アップなど)使えるお金は、バランスシートの左側(借方)の現預金であり、右側(貸方)の利益余剰金(内部留保)はそのような類のものではありません。

また、企業活動にはキャッシュ(現金)が必要であり、キャッシュが不足して困っているからこそ、バランスシートの右側にあるように、社債を発行したり、銀行からお金を借りたり、株式を発行したりして、一生懸命資金を調達しているのです。

こんな、企業会計の初歩の初歩も理解していない、「とんでも公約」を掲げる党に国政を任すと、悪夢の民主党政権時代が甦るかもしれません(個人的にはベーシック・インカムに踏み込んだことについては評価していますが…)。

確かに東芝やシャープ、日本郵政など日本企業の投資ベタを見ていると、投資家としては,利益余剰金(内部留保)を溜めこむよりは、配当として支払われる方が良いでしょう。しかし、グローバル投資のご時世に、政治家やマスコミが、こんなアホみたいなことばかり言っていると、日本企業に投資する投資家は、いなくなってしまうかもしれませんよ。



【スポンサーリンク】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA